■不況にも強い看護師資格

日本経済は徐々に好転しているといわれていますが、まだ低迷が続いており、学生の就職難は深刻です。高度成長期には新卒の学生は金の卵ともてはやされていましたが、近年、即戦力となる人材を求める企業が増加しています。

実際に平成24年6月現在の有効求人倍率は0.82倍と非常に低迷していますが、看護師の有効求人倍率は2.5倍以上です。全国各地で看護師不足は深刻な問題となっており、病院の70%が看護師不足とも言われていますし、全国で5万6000人もの看護師が足りないというデーターもあるほどです。

有資格者は就職に有利といわれていますが、その筆頭が看護師資格といえます。看護師の仕事について、経験者の体験談、求人など様々な情報がインターネットの看護師サイトでも紹介されていますので、看護師資格に興味のある方は一度チェックされることをお勧めします。

■准看護師と正看護師の違い

公的な看護師の資格としては、正看護師と准看護師の2種類がありますが、正看護師と准看護師の大きな違いは看護師免許の交付先です。

正看護師の資格を取得するためには国家試験を受験する必要があり、合格後は厚生労働大臣が看護師免許を交付します。それに比べて准看護師の場合は都道府県の准看護師試験を受験することになり、合格後は都道府県知事から准看護師の免許を交付されます。正看護師と准看護師では仕事内容はそれほど変わらないようですが、給与などの待遇面では差があります。

看護師の仕事は、正職員やアルバイト、パート、派遣など様々な職業形態を選択できますし、結婚して主婦になっても働ける仕事です。既に社会人として異業種で働いているけど将来を考えて看護師資格取得を目指すという方も少なくないようです。

■准看護師から正看護師へ

准看護師の方が正看護師になるには、看護師の国家試験を受験し合格する必要があります。ただし、看護師の国家試験を受けるには条件があり、文部科学大臣の指定大学や指定学校、厚生労働大臣の指定した看護師養成所で看護師に必要な学科を修め卒業する必要があります。看護学校によっては年齢制限を設けていないところもあるようです。

最初から正看護師を目指して看護大学などに入学される方もいますが、なかには准看護師の方が働きながら正看護師の資格を取得するケースも少なくないようです。

正看護師を目指す准看護師の方に対して奨学金制度や研修制度などで支援してくれる医療施設もあります。働きながらの資格取得は容易ではありませんが、周りのサポートが整っている職場環境なら正看護師資格取得の可能性は格段に広がります。

■通信教育で正看護師の受験資格を得る

准看護師として3年以上の実務経験があり看護学校で2年以上看護について学ぶと正看護師国家試験の受験資格を得ることができます。加えて、2004年以降、10年以上の実務経験がある准看護師が正看護師になるため通信制による教育も行われるようになりました。

通信教育であれば看護大学や専門学校に毎日通うことなく、働きながら正看護師国家試験に必要な単位を取得できますので、結婚して家族のいる准看護師の方でも家庭と仕事を両立しながら正看護師になることも可能です。

看護科2年課程通信制のある看護学校養成所は、札幌医学技術福祉歯科専門学校や八戸看護専門学校、東北福祉看護学校、上尾中央看護専門学校、金沢看護専門学校、大阪府病院協会看護専門学校、和歌山看護専門学校、福岡看護専門学校、熊本看護専門学校、鹿児島中央看護専門学校など北は北海道から南は鹿児島まで全国各地にあります。

■日本看護協会の奨学金を利用する

日本看護協会では2009年から、この看護師学校養成所2年課程(通信制)進学した方を対象者として奨学金制度をスタートさせています。

ただこの奨学金を利用するにはいくつかの条件があります。第一に日本看護協会の会員であること、次に看護師学校養成所2年課程(通信制)に在籍していること、最後に他の奨学金を利用していないことが条件となっています。

奨学金は1年ごとに貸与され、貸与金額は年額36万円で、無利子で借りられます。貸与期間は在学中の1年ないし2年間で、返還は最終貸与年の翌年10月1日からで3年以内に返還することになっています。返還方法は月賦、半年賦、月賦・半年賦の併用と3種類あります。この奨学金を利用するには連帯保証人も必要となりますが、詳細については日本看護協会のホームページで確認することができます。

■放送大学を活用する

看護科2年課程の通信コースを設置している看護学校養成所の他に放送大学を併用する方法もあります。放送大学は、テレビやラジオで毎日放送授業を行っていますので、家庭でも家事の合間に工夫次第で手軽に学べるのが大きな魅力です。

看護科2年課程通信制では、基礎分野、専門基礎分野、専門分野Ⅰ・Ⅱ、統合分野についての科目があり、看護師国家試験を受験するために合計で65単位を履修することになります。

放送大学を併用することで、例えば34単位を護師学校養成所2年課程(通信制)で取得して、残りの31単位を放送大学で履修することも可能で、看護師学校養成所2年課程(通信制)に入学する前に放送大学である程度の単位を修得しておくこともできます。

■准看護師試験の受験資格

准看護師になるためには、准看護師試験に合格し、都道府県知事から交付される地方資格の准看護師免許を取得しなければなりませんが、この准看護師資格試験には様々な受験資格を取得する必要があります。

受験資格を取得するには、中学校卒業後文部科学大臣指定校で看護に関する学科を履修する方法と都道府県知事が指定した准看護師養成所(2年間)を卒業する方法があります。准看護師養成所への進学を選択すれば、准看護師の受験資格を17歳で取得できることになります。

准看護師養成所は年齢制限がないので中学や高校を卒業した学生だけでなく一般の方も比較的受けやすい印象がありますが、実際に社会人になってから、准看護師養成所に入学する人も少なくないようです。准看護師には病院の規模を問わず、地方でも多くの求人があります。

■正看護師国家試験の受験資格

正看護師は厚生労働大臣が免許を交付する国家資格ですが、この正看護師の国家試験を受験するためには様々な条件があります。

文部科学大臣指定の看護師養成学校で3年以上看護学を履修して卒業した方、厚生労働大臣指定の看護師養成校を卒業した方、免許を取得後3年以上業務に従事した実績がある准看護師、指定学校または指定養成所で2年以上就業した准看護師のいずれかに該当すれば看護師国家試験の受験資格があります。

試験には、人体の構造と機能や疾病の成り立ちと回復の促進、基礎看護学、在宅看護論、成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、社会保障制度と生活社の健康、精神看護など10科目の試験科目があります。看護師の国家試験では、知識はもちろんのこと分析力や思考能力、解決能力、対応能力など様々な能力も試されるようです。

■准看護師と正看護師の業務の違い

准看護師は医師や歯科医師、看護師などの指示を受けて診療補助などを行うのが業務です。通常准看護師は、正看護師の下で働く事が多いようです。これに対して医師の指示に従って採血などの医療行為も行いますが、自らの判断のもとに主体的に看護業務を行えるのが正看護師です。

また、准看護師は正看護師と違い管理職につけないし、専門看護師や認定看護師の様にキャリアアップに有利な資格取得もできません。しかも、給与でも差があるのは否めないですし、出世も難しいのが准看護師です。

職場では医療チームの一員として一緒に仕事をするわけですが、准看護師と正看護師では、学校での学習内容や時間数、実習などに違いがありますので、業務など様々な差があるのも当然と考えている人も多いようです。

■准看護師の待遇

長年准看護師として働いている方から、時おり肩身の狭い思いをするとか、正看護師と同じような仕事をしていても、<b class=”red”>給与などの待遇面、役職などの昇進面などでの格差が大きすぎる</b>という不満の声を聞くことがあります。

実際に15年以上仕事をしていて経験豊富な准看護師が、正看護師になって2~3年足らずの経験浅い看護師より待遇が劣るという現実もあるようです。平均年収でも、<b class=”blue”>正看護師が約470万円に対して准看護師は約400万円と70万の差がある</b>というデーターも報告されています。

確かに准看護師より正看護師の方が学校で学ぶ内容は高度ですし、教育日数、時間数とも多く専門知識も豊富かと思いますが、それを踏まえても正看護師と准看護師の待遇面での格差がありすぎるようです。

■正看護師資格取得をすすめる理由
准看護師と正看護師の待遇格差改善、進歩し続ける高度医療に対応できる人材育成などのために<b class=”red”>准看護師制度廃止論もしばしば論議されていますが、現状ではなかなか実現が難しい</b>ようです。

准看護師の方の中には、現状に満足せずもっと看護に対する理解を深め将来はキャリアアップして役職にもつきたい、自分の実力を試しかつ高めていきたい人も少なくないようです。

その様な方は、正看護師資格取得を視野に入れて勉強されることをおすすめします。社会人として働いていても<b class=”blue”>正看護師の道・機会は開かれている</b>ので、時間的な余裕のない看護の仕事ではありますが、家族や周りの理解、支援を得ながら正看護師資格取得すればより明るい未来、やりがいと責任ある仕事・ポジション、待遇改善につながるはずです。

■准看護師から正看護師へ
准看護師の受験資格を取得するには、中学卒業後准看護師養成所か看護科のある高校で看護の勉強をして卒業する必要があります。これに対して、正看護師の受験資格を取得するにはもっと高度な教育、例えば看護大学や看護師養成所などでしっかりと教育を受けることが必要で、いくら<b class=”red”>経験ある准看護師でも、正看護師の国家試験に合格しなければ正看護師にはなれない</b>のです。

准看護師の免許を取得して3年間実際に病院などで医療業務に従事するとで、准看護師の方が正看護師国家試験の受験資格を得ることができます。また、厚生労働大臣や文部科学大臣の指定がある看護師養成所、大学、学校を卒業すれば准看護師の方でも正看護師の国家試験を受験できます。

<b class=”line”>10年以上の実務経験がある准看護師なら通信教育でも受験資格を得ることができる</b>ようです。准看護師としての経験は決して無駄ではなく、経験があるほど正看護師の受験資格を取得しやすくなります。

 

■准看護師制度が生まれた背景

准看護師の制度が生まれた背景にはその当時の社会的事情が大きくかかわっています。昭和23年に保健婦・助産婦・看護婦法が制定され、さらにその3年後の<b class=”red”>昭和26年に議員立法された准看護婦制度の導入により准看護師が誕生</b>しました。

戦後の看護婦不足を早急に補うために誕生したのが准看護師です。高校を卒業した生徒を対象にした看護婦養成制度でしたが、当時は高校進学率が4割にも満たず人員の確保が困難となっていました。また、戦後急速に病院数も増加し看護師不足はより深刻になったようです。

そこで考えられたのが<b class=”blue”>中学校卒業の生徒でも取得できる看護婦の資格</b>で、その結果成立したのが准看護師制度というわけです。ただ、この准看護婦制度は当初暫定的な処置だったようで、将来的には廃止も考えられていたようです。その後も何度か准看護師制度は廃止されるべきだという議論が高まりメディアでも報道されたことがありましたが、現在でも准看護師制度は廃止されないまま堅持されています。

■准看護師制度の廃止論
<b class=”red”>准看護師制度の廃止論の背景には、准看護師と正看護師の待遇の格差</b>があります。法律上は准看護師と正看護師とでは業務できる内容は違っていますが、実際の現場ではほとんど同じような仕事をしているのが現状です。

そもそも准看護師の制度ができたのは、高校進学率が低かったので、高卒を対象にした正看護師の人材確保が困難だったという背景がありました。しかし、現状では准看護師制度が成立した当時とは違い、<b class=”blue”>高校進学率は97%を超えており当初の懸念は解消</b>されてきているはずです。

看護協会では長年准看護師制度の廃止する方向で活動をしていますが、いまだに廃止に至っていません。

■准看護師制度が廃止されない理由
<b class=”red”>准看護師制度が廃止されない理由の一つに医師会の反対</b>があります。医師会では正看護師に比べて安く雇える准看護師の存在は、病院経営の面から考えても必要不可欠で、准看護師制度の廃止は受け入れがたいと考えているようです。

現状はどちらかというと准看護師制度を維持する方向に動いているようで、厚生労働省が准看護師制度を容認し養成制度を堅持する方針に変更したのは平成9年で、<b class=”blue”>平成13年には閣議にて准看護師の資格制度廃止は困難であることを了承</b>しています。

准看護師への求人はまだまだ多くありますが、准看護師の数は年々穏やかに減少する傾向にあり、准看護師・正看護師不足は解消されないままになっています。看護師不足の解消には、准看護師に頼るのではなく<b class=”line”>看護師全体の待遇改善が必要</b>です。

■准看護師の行える業務と格差

正看護師の仕事は保健師助産師看護師法で決められており、「傷病者もしくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う」事と明記されています。これに対して准看護師は同様の業務を行えますが、ただし、「医師、歯科医師又は看護師の指示を受ける」という条件が付いています。

つまり、<b class=”red”>医師や看護師の指示があれば、実質上准看護師も正看護師とほとんど変わらない業務内容を行える</b>ことを意味します。実際に准看護師も正看護師と同じ仕事を行っている病院も多いようですが、ただ<b class=”line”>給与を含めた待遇面では准看護師の方が劣っている</b>のが実情です。

准看護師の学校と正看護師の学校では勉強する内容や教育を受ける年数、教育時間など違いがあり、その為准看護師と正看護師とでは、得られる知識について雲泥の差があるという指摘もされる事があます。それが待遇面で大きな差を生む要因にもなっているようです。

■准看護師の求人事情
厚生労働省のデーターによると、看護師総数は少しずつ増えていますが、これに対して2008年には約39万7200人、2009年は約39万4400人、2010年が約38万9000人と<b class=”line”>准看護師の人数は年々減少傾向</b>にあるようです。

これは決して准看護師の求人事情が悪化いるからではないようで、病院などの医療施設では准看護師を求めているところが数多くあります。その理由としては正看護師とほぼ同じような仕事内容でも、准看護師ならば安く雇用することができるからのようです。

准看護師の勤め先として一番多いのはやはり病院で、次に診療所と続き、<b class=”red”>病院と診療所の2つの医療施設で准看護師の勤め先の8割以上</b>を占めています。

その他には介護老人保健施設や社会福祉施設、訪問看護ステーション、居宅サービスなどに勤めている准看護師の方もいます。

■より待遇を良くするために
近年大きい病院では、<b class=”blue”>准看護師が正看護師の資格取得に対しての支援を積極的に行っている</b>ところも増えているようです。看護学校への進学を手助けするために奨学金制度を設けていて、資格取得後一定年数病院で働けば借りた奨学金の返済も不要としている病院もあります。

准看護師として働いてから正看護師になるのは回り道の様に思われる方もいるかとは思いますが、准看護師として働いてしっかり経済的基盤を確保してからでも、病院の支援などを上手に活用すれば正看護師になれる可能性は広がっているのです。

准看護師の求人先は豊富にありますが、どの求人先でも正看護師に比べて待遇に格差があります。もし、<b class=”line”>よりよい待遇を望むのであれば、やはり正看護師の資格は不可欠</b>です。